都心の交通連続ミニフォーラム第10回
「都市財政と交通」報告書
主催:LRTさっぽろ

10月30日(木) 18:30〜20:30 ホテルポールスター札幌(北4西6)


第1部 基調講演   第2部パネルディスカッション


パネルディスカッション「都市財政と交通」 (全文)

【会場からの質問】
「地下鉄建設借入金の借り換えが出来ない理由」と「借入金の担保は何か」

●宮脇
・借入金の原資は郵便局の定額預金や簡易生命保険である。定額預金は金利が固定されているので,繰り上げ返済することは,この差損を埋めなければならない。また,借り換えして金利負担を軽減するなら,金利が上昇した時は金利の見直しを迫られる。単純に返せばいいという問題ではない。
・地下鉄を作るときに融資する公営企業金融公庫は,地下鉄の事業性を判断しないので,担保は札幌市議会の議決である。ある意味では民主主義が担保になっているとも言える。

【今後、札幌市役所は何を考えるべきか】
●宮脇
地下鉄,路面電車というように事業体として捉えることと,札幌市の政策の中でどう価値づけるかということを明確にしなければならない。ストラスブール(フランス)の事例のように,環境のために必要だという価値観によって交通を位置づけ,税負担を求めるというの方法もある。また,地下鉄を札幌市が直営でやる必要があるかどうか。公共交通として位置づけるのであれば所有は札幌市であっても,運営を札幌市がやる必然性があるのか,経営や地域の価値観として一番適切なものを選んでいくことが必要。

【都市交通にどういう価値付けをするか】
●宮脇
資産をどう位置づけていくかということです。都心に入るマイカーに税かける,あるいは電車税という考え方もある。どちらの方法もあるが,問題は価値観を明確にしているかどうかである。
●吉田
価値基準・価値判断を誰が決めるか。従来は行政が主導的に決めていたが,当事者である市民も一緒に関わってゆくことが大切である。公営企業というのは独立採算制を原則にしている。ストラスブールの例では,そこまで(独立採算制)求めていない。日本の今後の公営交通を考えた時に独立採算を堅持できるのか。これまでの財政のあり方を抜本的に変えていく必要がある。

【誰が都市交通を担うのか】
●吉田
いま行政が行っているのは公共性が高く,収益性が低い公共領域は行政が担っている。民間の資源やノウハウの導入により,効率的で価値の高いサービスを展開する枠組みをPPPという。既往施設でもPPPは適用出来る。例えば市電についてPPPを導入したらどんな風になるのかを考えると,自治体は総合的な交通を確立する役割を担い,民間事業者は効率的な事業手法や他事業とのタイアップを担うなどいろいろな展開が考えられる。

【PPPとは何か】
●宮脇
PPPは官と民との資源を使って新しいビジネスモデルを作っていくというところに特色がある。官と民のいい資源を結びつけて質を高めていく,共に考え,共に行動するということである。これを実践するためには,行政と民間に新しいタイプの契約能力が必要である。パートナーシップにおける知的所有権の問題と民間側のインセンティブを高めるための新しいノウハウを作ってゆくのがPPPの役割である。

【これから市民はどう行動すべきか】
●吉田
交通というのは街づくりそのものである。どういう街がいいのか,どういうことにお金をかけるか,それは市民一人一人,みんなが考えてゆく必要がある。PPPでも議論したが,公共交通を行政だけで担うのも難しい。なによりもそれを支え,利用する市民自らが考えてゆく必要がある。来月の1000人ワークショップがまさしくそんな場であろう。
●宮脇
札幌市のブランドを何にするかを考えて行く必要がある。その中で都市交通というのをどう位置づけるのか,位置づけるためのコストをどう分担するか,明確になってくる。これを都市交通や地下鉄事業の単体で議論していくと解が出てこない。したがって地下鉄をどう価値づけるのかという考え方を持つべき時代である。
●高見
札幌の交通を考えるということは財政全体を考えること。個別の地下鉄やバス事業ではなく財政を含めた全体を理解するというのが大事であって,それがとりもなおさず,札幌のブランド,言い換えれば市民一人一人が札幌の街のあり方そのものを問い直すことになる。


今回のフォーラムは主催者の予想を超える86名の参加者がありました。都市財政という難しい題材ながら,熱のこもった議論に会場の参加者の方々も熱心に聞き入ってくださいました。参加者からの質問も予想を超えました。会場でお答えできなかったものは,こちらでご覧下さい。

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